アスリートのメンタルヘルスを考える

2020.09.28コラム

アスリートのメンタルヘルスの問題は、これまでタブー視されてきたと言ってもいいかもしれません。「アスリートって心の不調とは無縁でしょ。」「アスリートなんだから、不安とか悩みとか言ってちゃダメ。」という声を聞くことがあります。アスリート自身も、「アスリートである自分は不安を抱えたり、心の不調を経験することがあってはならない。」と考えているかもしれません。

アスリートへのメンタルヘルス支援が国際的に注目されています。この数年で、国際オリンピック委員会を含め、数々の海外スポーツ関係機関から声明が発表されました。これらの声明では、アスリートのメンタルヘルスの問題について、「めずらしくないこと」、「競技パフォーマンスにも影響すること」、「早めの気づきと適切な対処が大切であること」、「回復可能であること」、「アスリートのためのメンタルヘルス支援策の整備が必要であること」が述べられています。

諸外国では、アスリートのメンタルヘルス支援に向けた取り組みが始められています。アスリートのメンタルヘルスの問題をなんとかしていこうという姿勢に変わってきています。一方、日本では、個人やチームレベルでの実践例はあるものの、支援策を整備する強い姿勢があるとは言えない状況にあります。

よわいはつよいプロジェクトでは、日本でタブー視されてきたと言えるアスリートのメンタルヘルスに関するテーマを、アスリートを含め賛同者の皆さんと共に発信していくことで、日本全体のアスリートを取り巻く環境、世の中全体のメンタルヘルスへの意識の変容を目指します。未知の領域を探求することは、心躍るチャレンジです。あるアスリートの方が「大人になってからした失敗ほど役に立つことはない」と言ってくださいました。失敗させてもらえる環境に感謝しつつ、挑戦しながら前進します。

国立精神・神経医療研究センター
精神保健研究所
地域・司法精神医療研究部
小塩靖崇